知っていると作品を見るのがもっと楽しくなる アートの材質・技法【写真編】

この作品素敵…!ってピンとくるアーティストに出会ったら、他の作品も見たくなりますよね。とはいえ、タイミング良く展覧会が開催されているかは分からないもの。
でも、特定のアーティストの作品だけを扱う個人美術館なら、いつでもあのアーティストの作品に出会えちゃうんです!この記事では、東日本にある現代アーティストの個人美術館を6つご紹介します。
写真家、現代美術作家の杉本博司氏の手がける構想10年、建設10年を経て2017年にオープンした壮大なランドスケープ。
神奈川の西側、JR東海道線の根府川駅からさらにバスで移動という辺鄙な場所にありますが、広大な土地を活かしたそのスペースは”美術館”のイメージからはかけ離れた大規模なアートスペースです。
杉本博司氏の代表作「海景」シリーズの並ぶ、石とガラスでつくられた「夏至光遥拝100メートルギャラリー」は夏至の日の朝日、その下にある「冬至光遥拝隧道」は冬至の日の朝日をのぞむ通路になっており、「夏至・冬至光遥拝の会」では朝日が通路に差し込む様子を実際に見ることができます。
また、ランドスケープのなかには、杉本博司氏の作品のほか、多数の骨董品が展示され、現代アーティストでありながら、元骨董商であり、骨董の収集家でもあるアーティストならではの世界が堪能できる場所です。
鑑賞は午前の部・午後の部各3時間の入れ替え制。2022年7月より、空きがある場合は当日予約も可能となりましたが、2日前まで可能なインターネット予約をおすすめします。
なお、江之浦測候所は建築とアートが”一体化”したような施設である一方、自身の作品を展示することをメインに考えたアートスペースとしては、香川県の直島に「杉本博司ギャラリー 時の回廊」を2022年に開館。こちらでは、杉本氏の代表的な写真や彫刻作品を継続的かつ本格的に鑑賞することができます。
江之浦測候所
URL:https://www.odawara-af.com/ja/enoura/
所在地:神奈川県小田原市江之浦362番地1
最寄り駅:JR東海道本線 「根府川(ねぶかわ)」 、「真鶴」
前衛芸術家・草間彌生氏が設立した美術館。2017年にオープンしました。
東京の神楽坂駅から歩いて10分ほどの場所にある、比較的コンパクトな5階建ての建物。白い壁とガラスでできた曲線的な建物はすっきりとした外観で、草間氏の作品のイメージとは少し違って見えますが、入り口には水玉の模様も。
年に2回の企画展が開催されます。1回の展覧会で展示される作品数自体は、「回顧展」のような大規模な展覧会と比べるとそれほど多くないかもしれませんが、鏡張りの部屋を使った作品や、空間を特定のモチーフで埋め尽くすインスタレーションなど、大型の作品も楽しめます。
美術館1Fにはミュージアムショップも併設され、限定グッズも購入できますよ。
鑑賞は、各回90分の完全予約・定員制。海外からも人気の高い草間彌生氏。コロナ禍以前は美術館の予約を取るのも困難でしたが、現在は比較的予約も取りやすくなっているので是非お早めに。
草間彌生美術館
URL:https://yayoikusamamuseum.jp/
所在地:〒162-0851 東京都新宿区弁天町107
最寄り駅:東京メトロ東西線「早稲田駅」/ 都営地下鉄大江戸線「牛込柳町駅」
栃木県那須塩原市にある、現代アーティスト・奈良美智氏の”アトリエの様な場所”。「作品をより身近にご覧いただける場所を国内に設けたい」という奈良美智氏の思いからオープンしたアートスペースです。
館内には奈良氏の作品はもちろん、奈良氏の所有する現代アートコレクション作品やレコード、それらを取り入れたインスタレーションも展開され、奈良美智氏の世界観全体を体験できるような場所です。
展示は年に1回、冬期休館(12月中旬~翌年3月下旬)中に、奈良氏が監修して、展示替えを行っているとのこと。建物の周囲は多くの緑に囲まれ、展示室ごとに様々なかたちで自然光が取り入れられ、心地の良い良い空間です。
N's YARD
URL:https://www.nsyard.com/
所在地:〒325-0103 栃木県那須塩原市青木28-3
最寄り駅:「那須塩原駅」から車やバスを利用
東京の豊洲にある、アートコレクティブ「teamLab (チームラボ)」の手がける超巨大なデジタルアート空間。
残念ながら2023年3月をもって会期が終わり、営業を終了する予定とのこと。裸足になって水のなかを歩きながら楽しむ作品など、1作品ずつ、その作品のためだけの広大な空間に没入して楽しむことができます。季節ごとに異なる演出もあり、何度足を運んでも楽しめる施設です。
なお、都内にはチームラボの手がけるもうひとつのアート施設「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」がお台場にありましたが、会場付近の再開発に伴い2022年8月で閉館。こちらは2023年に都心部で再オープンが予定されているそう。
チームラボボーダレスは初年度の年間来館者数が、オランダのゴッホ美術館を超え、単独のアーティストのミュージアムとして世界最多規模となる約230万人を記録。2019年の来館者数においては、単一アート・グループとして、世界で最も来館者が多い美術館として世界記録に認定され、チームラボの高い人気が伺えますね。
teamLab Planets TOKYO DMM
URL:https://planets.teamlab.art/tokyo/jp/
所在地:東京都江東区豊洲6-1-16 teamLab Planets TOKYO
最寄り駅:ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線「新豊洲駅」、ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線「市場前駅」、東京メトロ有楽町線「豊洲駅」
長野の軽井沢にある「軽井沢千住博美術館」は、日本画家・現代アーティスト千住博氏の初期〜最新作までの作品を展示する美術館です。
建築は西沢立衛氏。「明るく開放的な、今までなかったような美術館を考えられないか」と構想されたその建物は、床面はその土地のもともとの地形に合わせたゆるやかな起伏があり、壁面は一面のガラスでつくられ外の緑が美術館の空間に見え、美術館の内外が一体化して見えるような展示空間です。
自然光で満ちた明るい空間の中で、滝をモチーフにした有名な「ウォーターフォール」シリーズを初めとした絵画作品を鑑賞できるほか、館内には、1995年のヴェネツィア・ビエンナーレ絵画部門で千住博氏が東洋人初の名誉賞を受賞した縦3.4×横13.6mの大作「ザ・フォール」を展示する特別な空間「ザ・フォール・ルーム」も。
建築と作品、それから自然の風景までをあわせて楽しむことができる美術館です。
千住博美術館
URL:https://www.senju-museum.jp/
所在地:〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉815
最寄り駅:「軽井沢駅」からタクシーで10分
北海道美唄市にある、東京ドーム約1.5個分という広大な敷地の美術館。美唄市と美唄市出身の彫刻家・安田侃氏によって作られた「安田侃彫刻美術館 アルテピアッツァ美唄」です。
安田侃氏の作品は、六本木ミッドタウンや東京国際フォーラム、札幌駅JRタワーなど各地にパブリックアートとして展示されているので、名前を知らなくてもその作品を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか?
「アルテピアッツァ」という聞き慣れない名前は、イタリア語で 「アルテ」=芸術 、「ピアッツァ」=広場 を意味するもの。廃校になった学校を利用したギャラリーのほか、豊かな自然のなかに彫刻作品が点在します。さらに、これらの作品には、触れて楽しんでも良いのだそう。とても開放的で心地良のよいアートスペースです。
今回は、東日本にある個人美術館をご紹介しました。気になるアーティストがいたら、ぜひその個人美術館でアーティストの世界観を堪能してみてくださいね
文・写真:ぷらいまり。