知っていると作品を見るのがもっと楽しくなる アートの材質・技法【写真編】
現代アートの作品を見られる場所といったら、東京や大阪のような大都市、それに各地での芸術祭が真っ先に思いつくかもしれません。そんな中、青森には現代アート作品が見られたりする見所満載のスペースがたくさんあるんです。
この記事では、現代アート好きな方にぜひ訪問して頂きたい青森にある5つのアートスペースについて、それぞれの特徴とオススメのポイントをご紹介します。
こちらの美術館で有名なのは、なんといっても奈良美智さんの大きな彫刻《あおもり犬》!隣接する三内丸山遺跡を意識して制作されたというこちらの作品は、季節や天候によっても異なる表情を見せるのが魅力です。
「地域と風土に密着した芸術」を重視した美術館で、弘前生まれのアーティストである奈良美智さん、斎藤義重さん、寺山修司さん、青森市で育った成田亨さん、さらには棟方志功さんまで、青森に縁のあるアーティストの作品を収集し、常設で展示しているのが特徴。
個人にフィーチャーした美術館以外では、現代の特定の現代アーティストの作品を常設で見られる機会って実はあまりないので、こうして地元ゆかりのアーティストたちの作品が常に見られる場所というのは貴重ですね。
そして、もうひとつ注目したいのは、20世紀を代表する画家の一人、マルク・シャガールによる バレエ「アレコ」の舞台背景画。1点あたり縦約9M、横約15Mの巨大な背景画3枚が、部屋の巨大な壁面3面が、4層吹き抜けのアレコホールの3面を使用して展示されている様子は壮観です。
建築は、ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店の設計や京都市京セラ美術館の改修なども手掛けた青木淳さんの設計によるもの。隣接する「三内丸山縄文遺跡」の発掘現場から着想を得て設計されたといいます。
遺跡の発掘現場のトレンチ (壕) をイメージした、大きな凹型の地面の上に、逆凸型の建築が覆い被さるようにして、地上2F、地下2Fの建築空間を作り出しています。
また、真っ白な「ホワイトキューブ」の展示室と土の床や壁が露出する隙間の「土」の展示室が、共存するのも特徴的です。雪のように真っ白い外観が印象的で、冬は雪景色とも一体化するようですね。
新幹線の新青森駅からシャトルバスで約25分、青森空港からはシャトルバスで約20分。三内丸山遺跡の隣にあります。
1番のオススメポイントは、やはり奈良美智さんをはじめとする地元にゆかりのあるアーティストのコレクション。青森はこんなに多くの著名な現代アーティストを輩出していることを知って驚くかもしれません。
青森県出身のデザイナーで「ウルトラマン」などの怪獣やメカのデザインを手掛けた成田亨さんの作品など、他の美術館では作品をまとめて拝見する機会がなかなかない作品も常設で拝見出来るのが嬉しい場所です。
URL:https://www.aomori-museum.jp/ 所在地:〒038-0021 青森市安田字近野185 開館時間:9:30 – 17:00 休館日:毎月第2、第4月曜日 (この日が祝日の場合は、その翌日) 年末年始(令和4年度は12月26日から1月1日まで)
「展覧会」を開催するだけでなく、アーティストが滞在制作を行う「アーティスト・イン・レジデンス」、それに「教育普及」を3つの柱として、現代アートのさまざまなプログラムを発信するアートセンターです。
「美術館」とは異なり、館独自のコレクション作品は持ちませんが、「アーティスト・イン・レジデンス」の成果展をはじめとした複数の展覧会が開催されます。
また、敷地内には河口龍夫さんや青木野枝さん、淺井裕介さんなどの作品を野外作品として展示。もともと野外作品として制作されたものもあれば、「アーティスト・イン・レジデンス」で制作された作品の名残まで。日々、建物の内外で制作が続けられ、変化が起こり続ける場所です。
こちらの建築を手掛けたのは、建築家・安藤忠雄さん。周囲の自然環境を活かすため、建物を森に埋没させる「見えない建築」をテーマに設計されました。
アーティスト・イン・レジデンスが行われる「創作棟」と「宿泊棟」、ギャラリーや屋外ステージを備えた「展示棟」の3棟から構成されています。「展示棟」は円筒型になっており、カーブした壁と自然光の入る展示空間が印象的です。
JR青森駅からバスで40分。八甲田山麓の自然に囲まれた場所にあります。
アーティスト・イン・レジデンスの成果展として、国内外の新進気鋭のアーティストたちの作品を、個性的な展示空間で見られるのが魅力です。「展覧会」だけではなく、ワークショップや交流会などのイベントが多数行われ、アートをさまざまな形で楽しめるのも特徴的なスペースです。
URL:https://acac-aomori.jp/ 所在地:〒030-0134 青森市大字合子沢字山崎152-6 開館時間:9:00~19:00(展覧会:10:00~18:00) 休館日:年末年始(12月29日~1月3日)及び大学入学試験に関わる日程 入場料:無料
煉瓦造りが印象的なエントランスに入ると、奈良美智さんの《A to Z Memorial Dog》が迎えてくれるこちらの美術館。もともとは酒造倉庫として建てられた煉瓦造りの建物を改修し、2020年にオープンしました。
こちらの美術館は、「サイト・スペシフィック(場所性)」と「タイム・スペシフィック(時間性)」を2つの特徴として掲げています。展示作品は、過去に制作された作品を購入するのではなく、作家に新作の制作を依頼する「コミッション・ワーク」が中心。完成した作品を展示、収蔵するという流れで、まさに今同じ時代を感じられる作品たちと出会えます。
明治・大正期に建設された煉瓦造の建物を、建築家・田根剛さんが改修を手掛け、約2年の改修工事を経て再生させました。
「記憶の継承」をコンセプトとしており、建物の記憶を継承しながらも、現代に適合した高度な耐震補強を施し、寒冷地においても長持ちする素材を用いて作りあげられてます。内装も含め、倉庫として使用されていた頃の設備跡がところどころに感じられるようになっているのも魅力的な建築です。
JR弘前駅から徒歩で約20分、車で約7分の場所にあります。
歴史を感じさせつつ、美しさを保った歴史ある美術館の建物そのものがひとつのみどころです。さらに、元倉庫だったその開放的な空間を活かしたダイナミックな展示も魅力。
青森らしいリンゴを使ったメニューやお土産も楽しめる、カフェとショップも隣接。こちらの建物正面の煉瓦壁は、現存するものの中で最も古い明治時代のものなのだとか。
美術館としてオープンする以前にも、市民が主体となって奈良美智さんの展覧会を開催してきたという場所で、入り口にたたずむ《A to Z Memorial Dog》はその名残。そんなエピソードも含めて魅力的な美術館です。
URL:https://www.hirosaki-moca.jp/ 所在地:〒036-8188 青森県弘前市吉野町2-1 開館時間:9:00-17:00 休館日:火曜日(祝日の場合は翌日に振替)、年末年始
こちらの美術館の特徴は、なんといってもそれぞれの展示室のためにつくられた現代アートの作品群!美術館前に設置された、《フラワー・ホース》(チェ・ジョンファさん)や、巨大なおばあさんの像《スタンディング・ウーマン》(ロン・ミュエクさん) といった作品は、雑誌などにもよく取り上げられますね。レアンドロ・エルリッヒさんの《建物―ブエノスアイレス》や、塩田千春さんの《水の記憶》など、その場でしか体験できないような大がかりな展示も多数。
展示室だけではなく、美術館前にある「アート広場」や、通りに設置された「ストリートファニチャー」のように、無料で楽しめる、街に飛び出す作品群も。また、年に3-4回程度開催される企画展も、複数の違った規模を持つ展示室を活かした質の高い現代アート作品を楽しむことができます。
常設作品には、自身のスマホを使った無料の音声ガイドもあるので、解説もあわせて気軽に楽しめるのも嬉しいです。
設計は西沢立衛さん。それぞれの展示室が「アートのための家」というコンセプトでつくられています。サイズや形状の異なる各作品のための展示室が、ガラスの廊下で繋がれたつくりです。作品ひとつずつを独立した展示室で見られるので、より没入感のあるアート体験ができますね。外から見たときにも、様々なボリュームの白い箱が並ぶような、メリハリのある景観となっています。
展示室の一部や、廊下が大きなガラス張りとなっているので、展示室内外の作品を、それぞれの方向から見ることができ、街と美術館が一体となるようにも感じられる建物です。
七戸十和田駅からバスで約35分。官庁街通り(駒街道)に位置する美術館です。
美術の知識がなくても、見ただけで面白さが伝わってくるような作品が多数展示されています。さらに無料の音声ガイドも組み合わせると、よりその面白さを深く理解できるのも嬉しいところ。撮影も可能な作品が多いのも楽しいですね。
また、屋外のアート広場があったり、ガラス張りの展示室が外に開かれていることで、春は桜、冬は雪景色など、変化する風景の中で作品の表情の変化も楽しめるので、何度訪れても楽しめる美術館です。
URL:https://towadaartcenter.com/ 所在地:〒034-0082 青森県十和田市西二番町10-9 開館時間:9:00 – 17:00(最終入館 16:30)休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は、その翌日)、年末年始
1986年に開館した美術館ですが、2021年にリニューアル。「展覧会」と「プロジェクト」という2つの活動を行うスペースとして生まれ変わりました。美術館の企画展も、一般企画の展示も開催される美術館です。現代アートを専門とした美術館ではありませんが、年数回開催される企画展では現代アートの展覧会も開催されています。
特徴的なのは、「ジャイアントルーム」と名付けられた、市民が日常的に活動を行うための多目的スペース。美術館に入ってすぐの場所にある広いホールでは、ご飯を食べたり、打ち合わせをしたりしても良い、最近では珍しい、多目的で使用できる憩いの場となっています。
このジャイアントルームを中心に、受付や展示室、ミュージアムショップなどもドアで区切られることもなく、ゆるやかにつながっており、まさに、街に開かれた美術館といった感覚の場所です。
2021年にリニューアルした建物は、コンセプトが西澤徹夫さん・浅子佳英さん・森純平さん、建築は西澤徹夫建築事務所・タカバンスタジオ設計共同体によるもの。
可動の間仕切りなどで自在に場所をつくることができる「ジャイアントルーム」と、専門的に深く学び、違う専門性に出会うことができる「個室群」という2種類の空間で構成される、新しいタイプの美術館です。
八戸駅からJR八戸線で約10分の本八戸駅下車、徒歩約10分の、八戸市街地にある美術館です。
日常と展示室が緩やかにつながった、開かれた美術館です。また、開放的な「ジャイアントルーム」を活かしたパフォーマンスや展示も行われ、吹き抜け空間の2Fからその様子を眺めることもできるので、今後もさまざまな活用が期待されます。
URL:https://hachinohe-art-museum.jp/ 所在地:〒031-0031 青森県八戸市大字番町10-4 開館時間:10:00~19:00休館日:火曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始
この5つの個性的なアートスペース。せっかくならまとめて巡ったり、美術館の付近を散策したりしてみたいですよね。そんな中、これら5つの美術館・アートセンターが連携し、青森のアートの魅力を発信する5館連携プロジェクト「AOMORI GOKAN」が展開されています。
webサイトには、5館の展覧会スケジュールが一度に見られる機能や、5館周辺のアートスポット情報なども。それぞれの所在地や、現在どんな展覧会が開催されているのかが一目で分かるので、「この時期に行ってみたいけれど、あわせて他の美術館を回れないかな?」という場合にも便利です。
このサイトも活用して、青森のアートをもっと楽しみたいですね。