LWA / Life With Art(ルワー)
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アート作品の中ですごす一夜 —— 泊まれるミュージアム「BnA Alter Museum」

ぷらいまり。

2022.07.22

アート作品と一緒に過ごせるホテルって、アート好きとしては憧れますよね。ホテルの客室に好きな作品が1枚あるだけでも嬉しいものですが、なんと、「アート作品」に泊まれるホテルがあるんです!この記事では、京都にある宿泊型ミュージアム「BnA Alter Museum」をご紹介します。

「BnA Alter Museum」外観
「BnA Alter Museum」外観

「泊まれるアート作品」でどっぷりアートに浸かろう

京都河原町駅から徒歩5分。お隣には鴨川が流れ、祇園エリアや八坂神社も徒歩圏内という観光にも便利な「BnA Alter Museum」。入口はまるでギャラリーのようですね。

「BnA Alter Museum」外観
「BnA Alter Museum」外観

こちらのホテル、「部屋に作品が飾ってある」のではなく、なんと「客室そのものがアート作品」なんです。関西を中心とした9人のアートディレクターと、16人のアーティストが31部屋の「泊まれるアート作品」を制作しています。

廊下はシックで落ち着いたデザインです。
廊下はシックで落ち着いたデザインです。

客室ごとの表現も多様。部屋全面に色彩に溢れた壁画が描かれたアーティストMon Koutaro Ooyamaさん (#BCTION, DOPPEL)による部屋もあれば、メディアアーティスト真鍋大度さん(Rhizomatiks)の手がけるオーディオビジュアルインスタレーションの部屋もあり。また、インスタレーションやパフォーマンスの作品を国内外で発表する梅田哲也さんによる水を使ったインスタレーションの部屋、そしてミズグチグッチさんによる団地をモチーフにした部屋なども。表現するメディアも、作品の規模も異なり、まさに1部屋まるごと、そのアーティストの世界観の溢れた「作品」になっています。

筆者が実際に宿泊した部屋は、芸術家・彫刻家・研究者である大平龍一さんの手がけた≪goen no ma≫。なんだか日本庭園や、神社のような厳かな雰囲気も感じられるこの部屋。その床や壁面をタイルのように覆っているのは、なんと大量の5円玉!

≪goen no ma≫の客室
≪goen no ma≫の客室
なんと布団まで5円玉柄!
なんと布団まで5円玉柄!

きらきらと輝き、角度や光の入り方で少し色合いも変化して見える一面の5円玉は壮観ですが、さらに、宿泊者は1人1枚、新しく5円玉を新たに貼り付けられる体験型作品にもなっているんです。寺社仏閣の多い京都で、部屋の中で「五円」と「ご縁」が繋がってゆく…といったコンセプトなんですね。自分はどこに貼り付けようか…と、楽しく悩んでしまいました。

自分も5円玉を貼り付けてつなげていく、体験型の作品です。
自分も5円玉を貼り付けてつなげていく、体験型の作品です。

部屋そのものが作品なので、汚さないように気をつけなくては…なんて、ちょっとした緊張感はありますが、部屋は広く、備品も使いやすく快適に過ごせるのが嬉しい客室でした。

ケトルやグラスなども使いやすく、過ごしやすい部屋です。
ケトルやグラスなども使いやすく、過ごしやすい部屋です。

高さ30メートルの「縦型ギャラリー」とは?

客室でアートが楽しめるだけでなく、ギャラリーも併設されているというのですが、それは「高さ30メートルの縦型ギャラリー」というちょっと変わったギャラリー。

このギャラリー「SCG(stairscase gallery)」は、その名の通り、ホテルの屋外にある「階段」を昇りながら作品を鑑賞していくんです!こちらは、宿泊者以外も入場料を払って鑑賞することが可能。受付でチケットを購入し、2Fから階段を昇っていきます。

この外階段がギャラリー!
この外階段がギャラリー!

10Fまで徒歩で昇ることになるので、体力がちょっと心配な感じもしますが、ゆっくりと作品を見ながら昇っていくので意外に疲れませんでした。縦に広い5つの展示室をさまざまな高さから見られるという、通常のギャラリーとは違った環境を活かした実験的な作品に触れることができます。

縦型の展示スペースを活かした展示がユニークです。
縦型の展示スペースを活かした展示がユニークです。

スマートフォンで聴ける音声ガイドも用意されているのが嬉しいところ。ガイドを聴きながらゆったりと昇って見ていきましょう。

美術館でもホテルでもない実験と発信の場

「BnA Alter Museum」の1Fは、ホテルのフロントのほか、アーティストグッズやアートブックの購入できる「ミュージアムショップ」も。また、18時以降はバーとして、お酒のほか、数種類のフードメニューも提供されています。

2Fはカフェ「Coffee Base BnA」となっており、午後からは一般にも開放され、定期的な展示やイベントが開催されることも。

2Fカフェラウンジ。
2Fカフェラウンジ。

「ホテル」でありながらも、一部パブリック的なスペースがあることで、宿泊者同士やアート好きの旅行者、そして地元の方とのつながりも生まれるこの場所。アートに関心の高い旅行者と、その土地のアートシーンをつなげる実験的な取り組みなのだそうです。

また、宿泊費の一部は部屋を制作したアーティストに継続的に還元されるという世界で初めての取り組みも行っているのだとか。美術館とも、一般的なホテルとも違う、クリエイターの実験と創造を発信するスペースになっているんですね。

美術館でもホテルでもない、「宿泊型ミュージアム」という実験と発信の場で、新しいアートとの触れ合い方を体験してみませんか?

文・写真:ぷらいまり。

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【基本情報】

BnA Alter Museum
公式サイトURL:https://bnaaltermuseum.com/
住所:〒600-8024 京都府京都市下京区天満町267-1
TEL:075-748-1278
FAX:075-748-1278

ぷらいまり。 ライター / ぷらいまり。

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