LWA / Life With Art(ルワー)
LWA / Life With Art(ルワー)

展覧会で話題の李禹煥も!お台場で楽しむパブリックアート。

ぷらいまり。

2022.09.17

レインボーブリッジやフジテレビなど、観光にもデートにも人気のお出かけスポット「お台場」。ショッピングモール周辺は賑やかですが、少し外れると、心地よい散歩コースに、無料で見られるたくさんのアート作品があるんです。

この記事では、お台場で巡れるパブリックアートを、地図付きでご紹介します。

まずは押さえておきたい!3つの有名アーティストによる作品

「25のポルティコ―色彩と反映」/ ダニエル・ビュラン (お台場海浜公園駅付近)

お台場海浜公園駅を出てすぐ、鮮やかなストライプで彩られたオブジェが並びます。

フランスのコンセプチュアルアーティスト ダニエル・ビュランによる作品です。自身の論理に基づいた8.7センチ幅のストライプ模様の作品を数多く制作してきたダニエル・ビュラン。2018年にはGINZA SIXの吹き抜けをストライプの旗でいっぱいに彩るインスタレーションを展開したり、新潟の朱鷺メッセにもパブリックアート作品が設置されています。

25台のストライプのポルティコ(=イタリア語で“柱の列のようなもの”)は、鳥居のような形をしており、中をくぐり抜けて歩くこともできちゃいます。片方の面は緑と黄色、もう片方の面は緑と橙色のストライプになっていて、見る方向によってがらっと雰囲気も変わるので、いったり来たりするのも楽しいですね。

お台場海浜公園側から、階段を上がって続いていき、末端には鏡面状の建物があります。鏡に映り、表裏で異なった色のストライプがどこまでも続いて見える様子もまた面白いです。

「Saw, Sawing(切っている鋸)」/ クレス・オルデンバーグ (東京ビッグサイト 敷地内)

高さ15.5Mの超巨大なのこぎりは、スウェーデン生まれのアメリカ合衆国の彫刻家であり、ポップアートの代表的作家 クレス・オルデンバーグの作品。東京ビッグサイトの入り口付近にあり、展示会を見に行く際に目にした方も多いのではないでしょうか。

スプーンやバドミントンのシャトルなど、日常に見慣れた日用品を超巨大にしたり、ぬいぐるみのように柔らかい素材で制作したりする作品で知られています。サイズや材質を変えることで、見慣れたものたちが、全く異なった物に見えてくるんですね。

のこぎりのモチーフから「問題解決のプロセス」を表現しているのだそう。巨大なのこぎりが、地面を切りとってしまうような様子はなんともユーモラス。2色だけの印象的な色合いと、直線と曲線の組み合わせた造形も印象的です。

歩道橋から見下ろすことが多いかと思いますが、地上階から間近まで近づくと、その大きさを体感できますよ。

「頂」/ 李禹煥 (東京ビッグサイト 敷地内)

2022年に国立新美術館と兵庫県立美術館で大規模個展が開催され、今、話題のアーティスト、李禹煥。大韓民国慶尚南道に生まれ、日本を拠点に世界的に活動する、「もの派」と呼ばれる現代アートの動向の中心的な人物です。

「もの派」は、木や石などの自然素材や、紙や鉄といった日常素材をしばしばほとんど加工せずに展示し、主体と客体の分け隔てから自由に「もの」との関係を探ろうと試みる作風。

本作品も、水中に、広く厚い鉄板を置き、それを囲むように4個の大きな石が置かれています。水、鉄板、石、光といった素材をそのまま使用した作品です。4つの石は、四方からテーブルを囲んで対話を交わしているようにも見えますね。

季節や時間帯によっても変わる池の水面から反射する光も美しい作品なので、ぜひ現地でご覧ください。

東京ビッグサイトのアート作品

ビッグサイトの中には、この他にも全部で7つの作品が設置されています。ここでご紹介するほかにも、屋内にマイケル・クレイグ=マーティンや斎藤義重らの作品も展示されているので、イベントなどとあわせて探してみるのはいかがでしょうか。

「七つの泉」/ 長沢英俊

長沢英俊は、中国生まれの日本の彫刻家。 ミラノを拠点にヨーロッパ全土で活躍し、大理石や木、金属などを素材としたスケールの大きなアートを数多く手掛けています。会議棟の北側の広場の広い空間に設置された本作品は、大理石を使った3~9角形の7つの池と柱で構成。柱からは水が滴り、池に注ぎ込むように設計されています。

「UNTITLED-Three type #3」 / 笠原恵実子

笠原恵実子は、日本の現代美術作家。大理石やシリコン、人工毛髪、ステンレスといった無機質な素材を用いた作品で知られます。本作品は、大理石の3つのベッドの上に、ステンレススティールの磨き上げられた排水口が。ベッド、それは生まれてくる場所、死んでいく場所等を表わし、人間の生、そして性が転換していく循環系を意味しているそうです。

お台場海浜公園付近のアート作品

「自由の女神像」のある「お台場海浜公園」。この付近のエリアには、最初にご紹介したダニエル・ビュレンの作品以外にもユニークな作品が集まっています。

「あ - ん」/ 福田繁雄 (シーリアお台場 三番街5号棟(お台場海浜公園駅付近))

福田繁雄は日本のグラフィックデザイナー。日本のだまし絵・トリックアートの第一人者であり「日本のエッシャー」とも称されます。

本作品も、片方の面から見ると平仮名の「あ」、別の面から見ると平仮名の「ん」に見える、トリックアートのような立体作品。複雑な形状から、美しく文字が現れた瞬間に驚きがあるので、ぜひ作品のまわりを一周して、ベストポジションを探してみてくださいね。

福田繁雄作品は、水の広場公園にも「潮風公園(シーブリーズパーク)島の日曜日の午後」という、やはり見る面によって異なる風景の現れる作品があるので、こちらもあわせてチェックしてみてくださいね。

「ねじりはちまき」/樋口正一郎 (お台場海浜公園駅付近)

樋口正一郎は、北海道生まれの造形作家、都市景観研究家、パブリックアート研究者。ゆりかもめの「お台場海浜駅公園」駅とつながるシーリアお台場にあるのは、チューブがねじれたようなユニークな形状の作品。ところどころに開いた大きな穴からは中に入ることもでき、彫刻作品でありながら遊具でもあるようです。敷地内には赤色と黄色の2つの作品が設置されていました。

「'96 美神の門」/ 杉山惣二 (ウェストプロムナード、フジテレビ横)

杉山惣二は、名古屋生まれの彫刻家。お台場の自由の女神像からダイバーシティ方面へと続くウェストプロムナード上にあるこちらの彫刻は、横幅5m×奥行1.4m×高さ4.62mと迫力のある作品。古代の柱、女神、電波のアーチで構成された未来の「門」を表現しているといいます。古いものと新しいものを組みあわせ、住みよい地球、人類への幸せという祈りが発信できたらという願いが託されているのだそうです。

ダイバーシティからテレコムセンター付近

多くの人で賑わうダイバーシティから、船の博物館や科学未来館のある方面に向けても、心地よいお散歩コースです。

「自由の炎」/ マルク・クチュリエ (ダイバーシティ東京プラザ付近)

マルク・クチュリエは、独学で美術の世界に入ったフランスのアーティストで彫刻家。こちらの作品は、「日本におけるフランス年」(1998-1999年)を記念して、日仏友好を讃えて2000年にフランスから日本へ贈呈されたもの。高さ27mの彫刻作品は、ブロンズとアルミニウムに金箔を施して制作されています。青空の中にも映え、夕日を反射する様子も美しく印象的です。

「ROUND STRUCTURE 1995」/ 内田晴之 (滝の広場(テレコムセンター駅付近))

内田晴之は、静岡県生まれの彫刻家。瀬戸内国際芸術祭や大地の芸術祭でも作品が展示されています。こちらは、3つの円弧で構成されていて、それらを組み合わせると1つの円になる作品。この円は、1つの宇宙であり、ひとつの生命の源と考えているそう。鮮やかな朱色が印象的ですが、彫刻のフォルムとこの色彩で、生命のエネルギーと上昇する精神を表現しているそうです。

「重力の無い杜」/ 斎藤史門 (滝の広場(テレコムセンター駅付近))

斎藤史門は、東京生まれの造形作家。鉄を素材としながら、重量を感じさせない作風です。本作品も、作品の中に立つと鉄の持っている重力感が失われ、無重力の世界が存在するように感じられる、何もかも吸い込んでしまいそうなブラックホールの入り口のようなイメージで作られているそうです。

「碧空の花」/ 眞板雅文 (滝の広場(テレコムセンター駅付近))

眞板雅文は、自然の素材を使った立体造形やインスタレーションを数多く制作した彫刻家。上へ上へと伸びていく植物の芽吹きをイメージして制作された本作品は、同じ形が積み上がり、上に重なるものほど大きくなっています。造形上の美しさと、希望の広がりを意図しているそうです。

2022年には「ARTBAY TOKYO アートフェスティバル」もスタート!

たくさんのパブリックアートのあるお台場ですが、2022年から「ARTBAY TOKYO アートフェスティバル」という、このエリアで初めてとなるアートフェスティバルがスタート。

2022年は、9月16日~25日にかけて開催され、レアンドロ・エルリッヒらの作品が展示されました。

会場となったシンボルプロムナード公園などのあるエリアは、現在再開発中ですが、広い歩道とたくさんの花が植えられ、お散歩にもサイクリングにも心地よい場所です。お散歩やショッピングを楽しみながら、お台場のアートもたのしんでみませんか?

文・写真:ぷらいまり。

ぷらいまり。 ライター / ぷらいまり。

記事をもっと見る